春の「小石川植物園」、桜が満開。
「小石川植物園」と呼ばれていますが、正式な名称は「東京大学大学院理学系研究科附属植物園本園」です。元々は、江戸幕府により薬になる植物を育てる目的で、貞享元年(1684)に開園された小石川御薬園です。
江戸幕府は、人口が増加しつつあった江戸で暮らす人々の薬になる植物(薬草)を育てる目的で、寛永15年(1638)に麻布と大塚に南北の薬園を設置しました。やがて大塚の薬園は廃止され、貞享元年(1684)、麻布の薬園を5代将軍徳川綱吉の小石川にあった別邸に移設したものがこの御薬園でした。
その後、8代徳川吉宗の時代になり敷地全部が薬草園として使われるようになります。
享保7年(1722)、将軍への直訴制度として設置された目安箱に町医師小川笙船(おがわ しょうせん)の投書で、江戸の貧病人のための「施薬院」設置が請願されると、下層民対策にも取り組んでいた吉宗は江戸町奉行の大岡越前守忠相に命じて検討させ、この御薬園内に診療所を設けましたた。これが小石川養生所です。 山本周五郎の『赤ひげ診療譚』や、この作品を映画化した黒澤明監督の『赤ひげ』は、養生所を舞台としています。
また、御薬園は、大岡越前守忠相が庇護した青木昆陽が飢饉対策作物として享保20年に甘藷(サツマイモ)の試験栽培を行った所としても有名です。国の名勝および史跡に指定されています。
2021年3月26日、コロナ禍の春でしたが、園内は、豪華な花を咲かせた染井吉野を中心に多様な桜が、咲き誇っていました。
園内はソメイヨシノだけでなく、多様な桜が植えられています。またたくさんの花々や樹木など、ありとあらゆる植物や薬草が植えられています。