靖国神社「高燈籠(常燈明台)」

f:id:ktuyama:20210329230517j:plain

歩道橋の奥が靖国神社で,左に見えている銅像は「子爵品川弥二郎卿像」です。

田安門前に立つ靖国神社の高燈籠(たかとうろう)です。和洋折衷の不思議な建物です。明治4年(1871)に靖国神社(当時は東京招魂社)の前に、靖国神社に祭られた霊のために建てられました。
高燈籠は本来社寺仏閣に献燈された燈台のことです。
常燈明台(じょうとうみょうだい)とも呼ばれます。

f:id:ktuyama:20210329230645j:plain

九段坂の高台に設けられていたため当時はこの高燈籠から東京湾はもちろん房総半島まで見えたということです。
そして、この高燈籠の明かりは、品川に出入りする船の良い目印になっていたということです。
常夜灯や灯明台としての役割を果たしていました。それで、常燈明台とも呼ばれていたのだと思います。
高さは16.8m、構造として上部は洋風、下部は和風の様式です。
西洋の文化を取り入れ始めた時代の明治調をのこしている建造物として、江戸から東京に生まれかわる帝都のシンボル、時代の象徴だったのです。

f:id:ktuyama:20210329230841j:plain

当初は、靖国神社正面の常夜灯として九段坂沿いの角に建設されましたが、道路の拡幅工事に伴い昭和5年(1930)に現在地に移転しました。
錦絵にも描かれます。

f:id:ktuyama:20210329231313j:plain

二代目広重『飯田町九段坂の図』

九段を描いた絵の中で、小林清親木版画は「光線画」の技法で夜の風景の光の情感をしっかり描いています。

f:id:ktuyama:20210329231401j:plain

小林清親 木版画『九段坂五月夜』