亀戸天神社の「藤」風景
亀戸天神社では、2021年も、4月17日の土曜日から5月5日まで「藤まつり」が開催されます。例年だと夜間にライトアップされるようですが、コロナ禍でそれは中止のようです。ただ、今年は藤の開花が、例年より2週間も早かったので、すでに咲いています。(5月まで持つのかな)
15日行って見ました。満開も近のではと思わせる輝きでした。人出も多かったです。
藤は、万葉集に21首載っています。
平安時代は、紫という上品で高貴な色と、藤原家との結びつきで、大いに愛好されたようです。
清少納言は『枕草子』に、「あて(上品な)もの、水晶の数珠 藤の花…・・」と称えています。
かなりの昔から、紫色の花房を愛でる風習は庶民の間でもあったようです。
藤の花の名所として江戸で随一の人気を誇ったのが「亀戸宰府天満宮」でした。
亀戸宰府天満宮は、寛文3年(1663)に太宰府天満宮を分祠したのが始まりで、学問の神様として江戸庶民の信仰を集めていました。
祀られている菅原道真が愛した梅の名所でもあったのですが、藤も同じくらい名高く「亀戸の五尺藤」「亀戸の藤浪」として広く親しまれていました。
歌川広重は境内に咲く藤を多くの作品に残しており、代表作の『名所江戸百景』では太鼓橋と藤の花を描いています。
明治6年(1873)に東京府社となってから「亀戸神社」と号し、昭和11年(1936)に亀戸天神社となりました。
最後の浮世絵師 小林清親も明治になってからの藤咲く亀戸天神を描いています。水面に映る藤と太鼓橋がすがすがしい印象です。