赤坂一ツ木通りの浄土寺のお地蔵さま

赤坂の繁華街、一ツ木通りに、お寺が2つ残っています。赤坂不動尊威徳寺と浄土寺です。その浄土寺のお地蔵さんの話です。
浄土寺は浄土宗のお寺で、文亀(1500年頃)のころ江戸城内平川口の地に創建し、寛文5年(1665)一ツ木通りの当地へ移転して来たと言われます。

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入り口のところに2体のお地蔵さまが立っています。身代地蔵尊(左)と子育地蔵尊(右)です。
身代地蔵尊は、大悲(だいひ)をもって罪人の苦を代わり受けたり、危難を被りそうになった信者の身代りになってくださるお地蔵さんで、
子育地蔵尊は、子供の健やかな成長にご利益があるお地蔵さんです。
ここのお地蔵さまは、来るたび衣装がちがっています。梅雨時にはレインコートを着ておられました。お花もいつも新しいです。
境内に入ると、本堂前に、銅造地蔵菩薩坐像があります。

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銅像地蔵菩薩座像

左手に宝珠(ほうじゅ)、右手に錫杖(しゃくじょう)を持ち、僧衣を着けた 像高1m30cmの像です。

そして、その全身と高さ50cmの台座に、武士や町人など945名の結縁者の名が印刻されています。

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地蔵の台座 名前がたくさん刻まれています。

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台座正面下段に施主として「平兵衛」ほか三人の名が見え、彼らを中心として建立が行われたものと考えられます。

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地蔵の横の肩のところにも名前が彫られています。

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さらに背面。

背面には「享保四年(1719)二月二四日鋳物大工太田駿河守正義」とあります。

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御鋳物大工太田駿河守正義(儀)の銘があります。

太田正義は、深川の地蔵坊正元の発願で、各街道筋に建てられた「江戸六地蔵」を鋳造した神田鍋町の鋳物師「太田駿河守正儀」だと言われています。
江戸六地蔵」は、宝永5年(1708)から享保5年(1720)にかけて江戸市中の6箇所に、江戸市中から浄財が集められて造らた銅造地蔵菩薩坐像です。こちらは、享保5年(1719)です。同じ時期に入ります。こちらの像が少し小さいです。
でも、とても立派です。

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