浅草寺境内にある童謡「鳩ぽっぽ」の歌碑

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童謡「鳩ぽっぽ」の歌碑

浅草の浅草寺境内に童謡「鳩ぽっぽ」の歌碑が建っています。滝廉太郎作曲、東くめ作詞により明治34 年(1901 )に発表されました。
「鳩ぽっぽ」というので、

♪ぽっぽっぽ 鳩ぽっぽ
 豆がほしいか そらやるぞ
 みんなで仲良く食べに来い

という歌かと思っていましたが、違いました。

「鳩ぽっぽ」の歌碑の歌詞は東くめ作詞で、次のようです。

 ♪鳩ぽっぽ 鳩ぽっぽ
 ポッポポッポと 飛んで来い
 お寺の屋根から 下りて来い
 豆をやるから みな食べよ
 食べても直(すぐ)に 帰らずに
(ポッポポッポと 鳴いて遊べ)

先に引用したのは「鳩」です。この歌は広く知られています。
東くめが手がけた「鳩ぽっぽ」を知っているのは、少ないのではと思います。
『鳩ぽっぽ』は、作詞東くめ(1877年-1969年)、作曲は瀧廉太郎です。
明治33年(1900)に作られ、明治34年(1901)7月に刊行された『幼稚園唱歌』に第十二曲として収められています。
そして、明治44年(1911)に文部省によって編纂された『尋常小学唱歌』第一学年用には、「鳩」という楽曲が作詞作曲者不詳で採録されています。

作詞作曲者不詳というのは不思議ですね。

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作詞をした東くめは、この浅草寺の境内で鳩と戯れている子供姿を見て、この歌詞を書いたといわれています。
そういう意味で「鳩ぽっぽ」の歌碑がここにあるのは正しいです。
滝廉太郎と東くめ は一緒に仕事をすることが多く、「お正月」、「雪やこんこ」などなじみの童謡も手がけています。
幼稚園唱歌には、東くめ作詞・滝廉太郎作曲の「雪やこんこん」が掲載されていますが、文部省唱歌では「♪雪やこんこ」の歌い出しで知られる「雪」に変わっています。
作詞者の東くめは「“♪ぽっぽっぽ”で歌い出すと、鳩だか汽車だか判らない」とコメントしていたと東くめの義理の娘にあたる人が証言しているそうです。
「鳩ぽっぽ」はそれまでの文語調の唱歌ではなく、初めて「語り口調」で作られた唱歌と言われています。
東くめの夫の東基吉が、教育学者で、常々提唱していたのが「外国曲に訳をつけた唱歌や、文語調の歌詞では子供たちが楽しく歌えないのでは」「音楽教育としては、幼児に合った唱歌が必要」という事でした。
東くめは、東京音楽学校を卒業し、結婚して東京府立高等女学校で音楽講師をしていました。それで、近くの隅田川浅草寺をよく散歩をしていたようです。
そして、浅草寺境内に集まる鳩と、子供たちを見てこの歌詞が生まれたわけですが、夫の提唱する「語り口調」で作詞しました。
この歌碑は昭和37年(1962)に、彫刻家の朝倉文夫の作で建立されました。
ちなみに、浅草寺境内の鳩豆売りは、ハトの糞害対策で平成16年(2004)になくなっています。

一度「鳩ぽっぽ」を聞かないといけないです。